横浜市神奈川区鶴屋町にある横浜駅近くの不妊治療専門施設

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横浜HARTクリニックの内観

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久しぶりのブログです

皆さん、お元気ですか?

前回のブログから2カ月近く経ってしまいました。その間スタッフの入退職が続き、慌ただしい日々を送るうちに、3月はとうとう書く機会を逸してしまいました。そんな中で、理想とする組織を作り、それを維持していくことの難しさを実感し、自分の院長としての人間力、求心力について考え悩む日々が続いています。

自分も50歳を過ぎてくると、もう考え方が古い人間になってしまったのかもしれません。おそらく、人のためにひたすら働く、働きたいと思うことは過去のものなのかもしれません。私は研修医になる時に、「滅私奉公」の精神で働くと言って、当時の教授に「今時、そんなことをいう学生がいるのか」と言われましたが、その気持ちは今でも変わりません。

私が研修医だった頃は、当直の翌日も普通に1日勤務していましたし、その日も必要と思われれば続けて当直していました。そもそも私は、これまでに1度もタイムカードを押したことがありません。医者の仕事はそんなものだと思っていましたし、時間を気にしてできる仕事ではないと思っています。

私が医者になって最初に受け持った患者さんの中に、70代の子宮肉腫末期の患者さんがいました。末期ですから、医学的にはあまりできることがないのですが、教科書や論文を調べたり、カルテ庫に行って同じようなケースを探してみたり、とにかく何かできないかと必死でした。指導医に色々と提案して頑張ってみたのですが、患者さんは日々弱って行き、意識も薄れて行きました。もういつ亡くなってもおかしくない時期に来ると、私は毎日病院に泊まっていました。最期を見届けたいと思ったからです。医者として何もできることはないのですが、私の祖母くらいの年齢の患者さんに人として関わっていたのでしょう。そんなある日、深夜の病室で、私がベッドサイドから患者さんを見ていると、その方のご主人が「先生、いい男だね」とぽつりと言われました。「いい男」というのは「いい人」という意味でしょう。その患者さんが亡くなった時は涙が止まりませんでした。この患者さんとの出会いは、私の医者としての原点であり、患者さんとの関わり方を決定づけました。

私がよく言う、「寄り添う」とは、医者としてではなく、人として患者さんと関わる部分にこそあるのかもしれません。

当院が最後のクリニックであって欲しい

皆さん元気にお過ごしですか?

早いもので、2018年も2月下旬になりました。今年から凍結胚移植の時間をお昼前から午後に移動したり、精液の受け取り手順を変更したり、と診療システムを変えました。外来診療が少しでもより効率的に運営でき、皆さんの待ち時間も減るようにとの思いからです。それでも、特に今月は来院される方の数が多いので、相変わらずお待たせする日もありますが、皆さんのご理解とご協力のおかげで、妊娠成績は変わらずホッとしています。

もう1つ大きな変更は、しばらくの間タイミング性交指導をご希望の方の初診予約を見合わせることです。理由は、クリニックも4年目に入り、お二人目を希望して再来院される方などもいて、通院される患者さんの数が増え、初診予約数を絞る必要が出てきたためです。私は不妊に悩む方々ときちんと向き合い、妊娠できても、妊娠を諦める選択をすることになっても、横浜HARTクリニックが最後のクリニックとなるような、「横浜HARTクリニックに通って良かった」と言っていただけるような寄り添い方をしたくて開業しました。ですから患者さんの数を制限せざるを得ないとなると、やはり体外受精治療をされる方々との時間を確保したいと思います。その治療効果と限界を医学的に正しく説明して、十分に納得していただいた上で、ご夫婦自身が決断して、治療を受け、その結果をきちんと受け止めていただきたいと考えています。

思い描いていたように妊娠に至らない、という最大級の危機に直面したご夫婦に、一般的で表面的な治療を提供したくありません。それぞれのご夫婦の思いをゆっくり十分にお聞きして、最善の治療を心を込めて提供したい。不妊治療に限らず、医療の役割には、その人の目の前の悩みや苦しみを取り除くことだけではなく、医療行為が終了した後のその人の人生をどれだけ豊かなものにできるか、も含まれるはずです。不妊治療を通じて出会ったご夫婦の心に触れる努力をすること、これだけは私が開院時から決して譲れない理念です。

2018年もよろしくお願いします

皆さん、こんにちは。

急に寒くなりました。インフルエンザもはやっているようですが、元気にお過ごしですか?

年も改まって普段の診療が始まり、体外受精の採卵、胚移植も始まりました。今年もそれぞれの方に最適な方法を考えて、安全に確実に実行していきたいと思います。そして、今年は、不妊治療は本来シンプルなものであって、皆さんが構えることなく、より身近な治療と感じていただけるように、今まで以上に丁寧に説明していきたいと思います。そのため、今年は初診枠、特にタイミング指導をご希望の方々の枠を減らさざるを得ません。何卒ご理解のほどお願いいたします。

私が、不妊治療は本来シンプルであるべきと考えるのは、人の体が本来妊娠するように作られているはずと考えるからです。力のある精子と卵子があれば、よほど子宮に大きな問題がなければ、ほとんどの方が妊娠します。教科書には、正常値であったり、統計的な妊娠率が書いてありますが、実際には個人差が大きく、教科書的な知識で、妊娠が難しいというような説明を患者さんにするべきではありません(その典型的な例が、抗ミュラー管ホルモン、AMHでしょう)。

私も、時には先入観を持ってしまい、後から反省することがあります。早くに妊娠するだろうと思った方が体外受精を何回も繰り返してようやく妊娠に至ったり、年齢が高く卵子の数も少ない方が初回の体外受精で妊娠したり、というようなことは珍しくありません。子宮内膜の厚みもそうです。10 mm ないと妊娠しにくいとか言われますが、7 mm でも妊娠する方はします。海外で卵子提供を受けられた方々の経験から、子宮の状態がかなり悪くても妊娠できるものであることを学びました。

やはり、妊娠に一番必要なものは、良い精子と良い卵子です。精子は1回の射精で何千万個も得られますから、実際には良い卵子が得られるかどうかです。タイミング性交でも、まず1年は頑張ってみて、と言われるのは、3ヵ月に1度よい卵子が排卵される方もいれば、1年かかる方もいるからです。そのように、もともと個人差が大きい確率的な事象である妊娠を対象にした治療ですから、不妊の原因が卵子にある方は、それなりの期間治療を継続する必要があります。卵管と精子に問題がなければ、体外受精に限らず、タイミング性交を取り混ぜて頑張ってみても良いかもしれません。

その方の普段の生活リズムが悪いとか、仕事が忙しすぎるとか、冷え症だからとか、いうことで不妊になることはまずないと思います。自身を責めることはありません。それよりも、貴重な一回一回の排卵のチャンスを生かすことを一緒に考えてみましょう。私は、妊娠本来の確率的、運命的な特徴を受け入れてみると、少しでもストレスが減り、不妊治療が継続でき、妊娠という結果につながると考えています。

今年も1年間ありがとうございました

皆さん変わりありませんか?

2017年もあと4日となりました。もう仕事納めの方もいらっしゃることでしょう。昨年の今日、12月27日は母の通夜でした。診療を終えて夜名古屋へ向かう新幹線の中で、翌日の告別式のあいさつ文を考えていました。片づけに慌ただしい中迎えた2017年でしたが、こうしてまた1年間仕事ができたことをありがたいと思います。

毎年この時期になると、今年通院いただいた方々に満足していただけただろうか、とそれぞれの方を思い振り返ります。妊娠された方、今年はうまくいかず来年へ治療を持ちこされた方、妊娠・出産に至らずに治療を終了された方等、傍からみれば端的な結果ではありますが、私としては結果だけではなく、当院での治療に満足していただけたかどうかも大切だと考えています。一人一人の方と向き合って最大効果を期待できる治療を提案しているつもりですが、中には治療が予定通りに進まず、あるいは予定外のことが生じて、かえって治療を始める前よりも辛い思いをされた方もいらしたかもしれません。そうであれば、この場を借りてお詫びいたします。

不妊治療は妊娠するかしないかはっきりしない中、一周期一周期前に進んで行かなければなりません。それを可能にするものは、患者さんと医療スタッフとの間の信頼関係しかありません。患者さんから、「スタッフの方々のおかげで通うことができました」と言っていただくことがありますが、私からしてみれば、先が見えない治療過程を真剣に、勇気を持って進む患者さん達から励まされて日々仕事をさせていただいているのです。悩み事があったり、少し体調がすぐれない日も、診療を始めて患者さんと向き合うと、頭も体も100%診療モードに入ります。私たちの方こそお礼を言わなければいけません。

来年、2018年はどんな年になるのでしょうか?一人でも多くの方に満足いただけるように努力するのはもちろんですが、少し外来の診療体制も見直して、より効率的な運営も考えてみたいと思っています。また、患者さん一人一人とさらに時間をかけて話をしてみたいとも思っていますので、お受けする患者さんを人工授精、体外受精をご希望の方により限定してくことも検討しています。ご意見があればぜひ教えてください。

それでは、皆さん、良い年末年始をお過ごしください。

来年もよろしくお願いいたします。

私はやはり現場主義ですね

最近は、医師の資格を取った後に、ビジネス界や政治の世界へ転身されるドクターの方も見受けます。おそらく、個々の患者さんを診るよりも、社会全体に働きかけることで医療界を変え、結果的により多くの患者さんのためになろうと考えてのことなのでしょうね。

医療界も情報公開が進み、医療従事者だけでなく一般の方々も参加して様々な議論が行われるようになり、いろいろな方面から医療を考え、社会のニーズに応えられるよう医療を進化させていくのは必要であり重要なことだと思います。

私自身はどのような立場をとるかと聞かれれば、やはり日々の診療をコツコツと続けていくことを選びます。そもそも目の前の苦しむ人の役に立ちたくて医者になりましたし、以下のような理由でやはり一人一人の方を丁寧に診療していくことが私には合っていると思います。

(1) 細かい作業が好きで比較的手先が器用

(2) ヒトも含めて生き物が生き、次の世代を生み出すという事実に日々感動する

(3) 人の個別な喜びや悲しみに寄り添いたい

日々の診療行為は地味に見えます。歌手がコンサート会場に3万人のファンを動員して感動を与えるような華々しさはありません。でも、目の前の患者さん一人一人と向き合う毎日を積み重ねれば、いつかはそれなりの人数の方のためになるのではないかと思い、毎日診療を続けています。

私が現場を離れる時は、自分が目指すベストな診療が行えなくなって患者さんに申し訳ないと思うようになった時か、私と理念を共有する後継のドクターやナースが育って自分の役目は終わったと思えるようになった時でしょうかね。

 

初診でご来院いただいた方が1000組を超えました

だいぶ涼しくなりましたが、皆さん変わりなくお過ごしですか?

先日、初診でいらっしゃったご夫婦が1000組を超えました。開院(2014年7月7日)から3年3ヵ月になりますが、多くの方にご来院いただいたことに心からお礼申し上げます。

開院時は「患者さんはいらっしゃるだろうか」という不安な毎日でした。経費に余裕もありませんでしたから、毎朝自分でクリニックの掃除機がけをしていました。今こうして懐かしく思い返すことができることにも感謝して、初心を忘れず日々の診療を続けていきたいと思います。

現在、タイミング指導で通院の方が1割、人工授精の方が2割、体外受精・顕微授精の方が7割の割合です。当院でお一人目を妊娠、出産され、お二人目で通院される方も増えてきました。一日に来院される患者さんの数は、20-30人程度、時にはお待たせすることもありますが、それぞれの患者さんの顔が見えて、診療理念である「寄り添える治療」を行うには、ちょうどよいペースだと考えています。このペースを維持するため、初診のご予約は月、火、木、金曜日午後の週4日、1日に2組までとさせていただいています。

ご来院される方々には様々な不妊原因があり、また生活を取り巻くそれぞれの諸事情をお持ちです。クリニックの都合に合わせていただくのではなく、皆さんの都合にできるだけクリニックが配慮して、満足のいくテイラーメイドの治療を提供したいと思います。

近況を報告します

久しぶりのブログになってしまいましたが、皆さんお元気ですか?

なんとなく落ち着かない気持ちの日が多かった7月でしたが、8月以降はいつも通り元気に仕事をしています。

7月、8月は産科へ転院された方が多く、外来の混み具合も緩和され、皆さんにご迷惑をおかけする日が少なかったと思います。特に8月は、通院いただいた方々といつも以上にゆっくりお話しすることができました。産科へ転院された方々の中には、なかなか妊娠に至らず長い期間にわたって通院していただいた方や、他で結果が出ずに転院されてこられた方など、それぞれに辛い思いをされた方々が含まれ、私たちスタッフも感慨深いものがあります。

不妊治療には、全ての方にあてはまる正解というものがないので、その都度、その方のその治療周期に最適と思われる方法を選択、決断して進んで行くわけですが、うまくいってもいかなくても、「本当にこれで良かったか」と振り返る日々です。そして、患者さんから「ありがとうございました」と言われることも多いですが、100% を約束できない治療を一緒に頑張っていただく患者さんたちに私たちスタッフの方が励まされ、エネルギーをいただくことも多く、逆にお礼を言うべきなのかもしれません。

私は医師としてその方の人生に関われることをとても幸せに感じています。ART (Assisted Reproductive Technology) は日本語では『生殖補助「医療」』と訳されていますが、本来のニュアンスとしては『補助生殖「技術」』です。つまり単に「技術」であり、全人的な「医療」という意味合いはありません。私は ART も含めたもっと視野の広い不妊治療、生殖医療を実践したいと思っていて、それを患者さんを惑わせることなく、できるだけシンプルに行いたいと思っています。「人は本来妊娠する力を備えている」と信じて、医学的、科学的、常識的に正しいことをきちんと患者さんに説明して、もうこれ以上はできませんというところまで一緒にお付き合いしたいと思っています。

お知らせですが、8月2日に横浜市の不妊治療助成金申請のために必要な施設登録更新審査を受け、無事に3年間の更新を終えました。必要な書類を揃えたり、現地調査を受ける適度な緊張感を感じたり、3年に1度くらいは必要なことかもしれません。

9月に入ると今年もあと治療周期としては 3周期です。できるだけ多くの方に年内によい結果が出るよう、スタッフ一同気持ちを引き締めて頑張ります。

いかがお過ごしですか?

蒸し暑い日が続いていますが、皆さんいかがお過ごしですか?

前回の投稿から1カ月近く空いてしまいました。書こうかなと思いながら筆が進まず、なんとなく自分の心が定まらない感じの日々が続き、自然に任せているうちに時間が経ってしまいました。

その代りなのでしょうか、読みたいと思っていた本を2冊読みました。

1冊目は、George Orwell の「1984」。古典中の古典ですが、そのために題名は知っていても実は読んでいない人が多い本です。私も何年か前に買ってはいたのですが本棚に眠ったままになっており、今回きちんと読んでみました。いわゆる監視社会について、国民の生き方が風刺的に書かれていて、今の日本の状況と比較しながら読むと面白いと思います。自分ならどう生きるだろうか、主人公のWinston Smith の生き方をするか、その他大勢の生き方をするか、と考えたりするのですが、本文最後の1文(原文では4つの英単語)をみて愕然とします。

2冊目は、Henry Marsh の「Do no harm」(日本語にも訳されています)。イギリス人脳外科医の随筆です。ベストセラーになったようですが、確かに文章から人間に対する愛情が感じられ、医者としても人としても自分の心ときちんと向き合って書かれていると思います。医者と患者さんとの関わりにおいて、端的に言うと、その結果は次の3通りです。

(1)患者さんの望む通りの結果になって感謝される、(2)患者さんの希望通りの治療結果を出せずに治療を終了する、(3)治療前よりも患者さんの苦しみが増える。

脳外科医の Marsh にすれば、(1)は腫瘍が取りきれて完治すること、(2)は腫瘍を取り切れず手術が不完全に終わること、(3)は手術時に正常な神経を傷つけて麻痺を残すこと、でしょう。これらが臨場感を持って、正直に書かれています。私もロンドンに5年半いたので、会話の文章が生き生きと伝わってきて、Marsh の喜び、焦り、悲しみ、絶望が非常によくわかります。

そして先の3つは当然私自身の医者としての日常にも当てはまります。(1)は妊娠、出産に至ること、(2)は力及ばず治療を終了する旨説明すること、(3)はそういうつもりではなかったにしても、私の言動が患者さんを傷つけて治療がつらくなったり、治療の副作用として身体的な後遺症を残してしまうこと、です。(3)が生じないように努めてはいますが、自分が気付いていないだけかもしれません。

不妊治療を長く続けてくると、私にもMarsh のように書こうと思えば書けることはたくさんあります。患者さんから丁寧な手紙をいただいて、そうだったのかと気づくことも多く、また患者さんの中には自身で本を出版され、その中に私とのことを書いてくれた方々もいます。いつか私も本を書いてみてもいいかな、と思ったりもします。次の世代へ残せるものの一つですからね。

 

開業3周年を迎えます

7月7日で開業3周年を迎えます。

まだ振り返って思い出話をするほどの年月でもありませんが、私にとっては公私ともに密度の高い時間であり、その密度の高さは様々な人との関わりにあります。

第一は、患者さんとの関わりです。開業後も、東京HARTクリニック勤務時代から変わらない姿勢で、一人一人目の前の患者さんと真剣に向き合ってきました。しかし、ホームページの「院長紹介」にも書いたのですが、自分も年齢を重ねたせいか、これまでのように自分の年齢に近い患者さんと共に戦う「同志」的な思いから、「皆さんに幸せになって欲しいから自分の全力を尽くす」という思いへの変化を感じます。「この治療法がベストだろうか」と自問する毎日ですが、日々知識の吸収を怠らず、自分の頭で考えて、謙虚な気持ちを忘れないよう努めています。

第二は、スタッフとの関わりです。開業しなければ出会わなかったはずのスタッフ達と出会い、不妊治療という共通の目的を持って仕事をする機会を与えられました。「診療理念」の一つである教育を通して、スタッフ皆には、社会人としてどこに行っても通用するような人間になって欲しいという思いで関わっています。せっかく何かの縁で出会ったわけですから、「あの時は小うるさい院長だと思ったけど、今思えばありがたかったな」と思ってもらえたら本望ですね。

第三は、両親との関わりです。開業の翌年(一昨年)の7月に父が急逝し、昨年の12月に母が5カ月の入院生活の末に亡くなりました。医者になってからはあまり会う時間もなく、さらに開業する時には、もう親の死に目にも会えないだろうと覚悟はしましたが、開業後すぐに二人ともいなくなり、実際にどちらの死にも立ち会えませんでした。

今日は、父の3回忌と、母の七七日と1周忌を兼ねた法要を桑名で行い、納骨もしてきました。お互いの後を追うように亡くなった二人ですから、それぞれの遺骨を入れた袋を小さな木箱に一緒にいれて、菩提寺の納骨堂に納めてもらいました。手元に置いてあった遺骨を納骨したことで役目を果たしたと思うと同時に、寂しさも改めて感じます。

両親に対してはいろいろな思いがありますが、今一番心に残る言葉は、私が結婚する時に母が言った言葉です。私には兄弟がいないので、「これで自分たち(両親)が死んでも一人ぼっちにならずにすむね」と言ってくれました。その時にはあまり気にとめていなかったのですが、実際に両親がいなくなると、ありがたい言葉だと思います。

人は常に誰かと関わって生きています。人との関わりが希薄になりがちな時代だからこそ、私はアナログ的な人との関わり方も大事にしたいと思っています。診療スタイルも患者さんと時代のニーズに合わせて変えていく必要がありますが、機器だけに頼らず、きちんと話を聞く、丁寧に説明をする、五感による基本診察を行う、病気だけを診ないでその方の生活や思いも考慮する、といった医療の基本的な姿勢を今後も実践していきたいと思います。

新幹線の車中で

母が亡くなってから半年間そのままになっていた、桑名のマンションへ行ってきました。片づけをしなければいけないとずっと思いながら、忙しくて行けずにいましたが、ようやく行くことができました。でも本当は行く気になれなかったから、行かなかったのかもしれません。

住人のいなくなったマンションに入るのはやはり寂しいですね。帰省するといつも「いらっしゃい、よく来たね」と声をかけてくれましたが、今日は私が「来たよ」と言うだけでした。

桑名へ向かう新幹線の中で何を読もうかと考えていたのですが、新横浜駅の売店で文藝春秋の「前川喜平前文科事務次官手記」という見出しを見つけて、これを読むことに決めました。私は、この前川さんという「人」に興味がありました。

記事の内容は特に面白くありませんが、手記の最後にこの方の「人」が表れている部分を見つけました。105ページ、下段、右から13行目、「でも公僕は…」という表現、さらにその4行後、「私は人々のために尽くしたい、人を幸せにする仕事をしたいと考え、文部省に入りました。」という箇所です。おそらく、この方が手記に書いている内容は真実なのでしょう。

私も小さい頃から医者になりたくて医者になりました。小さい頃はよく熱を出して、近所の内科に行きました。夜遅くに診てもらうこともありましたので、医者とは昼夜関係なく仕事をするものと思っていました。さらに、国立大学に入学し、授業料のほとんどを税金から出してもらって医者にしていただいたわけですから、社会に還元したいという思いは強いです。公務員ではありませんから「公僕」ではありませんが、「人々のために尽くしたい、人を幸せにする仕事をしたいと考え」医者になりました、という点は前川さんと同じです。

前川さんは、現役時代には大きな組織の中で、その思いを貫くことが難しかったのでしょう。それに比べると、私の場合、あまり医局組織と関わらずに自分のしたいことをしてきましたので、しがらみのない分恵まれているのかも知れません。後悔することのないよう、初心を忘れず日々の診療を積み重ねて、より多くの人に喜んでいただける仕事をしたいですね。

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