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体外受精の助成金制度と保険適応を考える

今年、2021年から体外受精治療の助成金制度が拡大され、2022年には保険適応が検討されています。助成金申請について所得制限が撤廃されたことは、保険適応とほぼ同等と考えることができます。不妊で悩むカップルにとって経済的負担が軽減されることは良いことですが、懸念される点もあります。

 

第一に、体外受精の適応となる方の診断をより厳格にする必要があります。日本産科婦人科学会は、体外受精・胚移植「以外の治療によっては妊娠の可能性がないか極めて低いと判断されるもの、および本法を施行することが、非実施者またはその出生児に有益であると判断されるものを対象とする」と述べていますが、この診断は難しいです。左右両側の卵管がない女性は100%適応になりますが、いわゆる「原因不明」と言われる方達が上記を満たすかどうかはわかりません。実際、治療周期の合間に自然妊娠する方達が数%います。

 

第二に、助成金の支給方法です。拡大された助成金制度では、1回の採卵あたり30万円、6回まで、合計180万円まで助成されます。保険適応でもおそらく同程度と考えられます。しかし、施設によって治療方針は異なります。自然周期と刺激周期では、採取する卵子数が異なり、患者さん一人につき1個の卵子を扱うのと10個の卵子を扱うのでは、スタッフの仕事内容も必要な資材や機器も異なります。自然周期や低刺激周期による体外受精では採卵あたりの費用を低く抑えられるかもしれませんが、1回採卵あたりの妊娠率が低く、採卵を繰り返す身体的、経済的負担が生じます。一方、刺激周期による体外受精では、卵巣刺激注射や余剰胚の凍結があることから1回の採卵あたりの費用は高くなりますが、採卵あたりの妊娠率は高く、余剰胚が凍結できれば、新たに採卵することなく二人目を産むこともできます。刺激周期では、大半の方が3回までの採卵で出産されますから、同じ合計180万円の助成を1回60万円、3回までとする方法が適っています。あるいは、上限は同じく合計180万円とし、都度かかった費用の一定割合、例えば80%を助成するような方法も良いかもしれません。子供を一人授かるまでにかかった費用で考えれば、自然周期・低刺激周期は1回あたり低額で回数を多く、刺激周期では1回当たり高額で回数を少なく助成する方法が適当と思われます。

 

女性を単に子供を産む存在と見るのではなく、不妊治療というその女性にとっての大きな人生経験に思いを馳せれば、それぞれの方に合った不妊治療の選択肢があっていいのではないでしょうか。そういうシステムが煩雑というのであれば、真の意味で少子化対策として不妊治療を考えているとは言えません。

記事監修
院長 後藤 哲也
経歴

東京大学医学部卒業

産婦人科研修医(東大附属病院分院、都立築地産院、国立習志野病院)

アメリカウィスコンシン大学高度生殖医療施設

イギリスロンドン大学大学院  医学博士(生殖遺伝学)

オーストラリアモナッシュ大学体外受精施設

東京HARTクリニック副院長
横浜HARTクリニック開業

資格

日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医

日本生殖医学会認定生殖医療専門医

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