横浜HARTクリニック

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新幹線の車中で

母が亡くなってから半年間そのままになっていた、桑名のマンションへ行ってきました。片づけをしなければいけないとずっと思いながら、忙しくて行けずにいましたが、ようやく行くことができました。でも本当は行く気になれなかったから、行かなかったのかもしれません。

住人のいなくなったマンションに入るのはやはり寂しいですね。帰省するといつも「いらっしゃい、よく来たね」と声をかけてくれましたが、今日は私が「来たよ」と言うだけでした。

桑名へ向かう新幹線の中で何を読もうかと考えていたのですが、新横浜駅の売店で文藝春秋の「前川喜平前文科事務次官手記」という見出しを見つけて、これを読むことに決めました。私は、この前川さんという「人」に興味がありました。

記事の内容は特に面白くありませんが、手記の最後にこの方の「人」が表れている部分を見つけました。105ページ、下段、右から13行目、「でも公僕は…」という表現、さらにその4行後、「私は人々のために尽くしたい、人を幸せにする仕事をしたいと考え、文部省に入りました。」という箇所です。おそらく、この方が手記に書いている内容は真実なのでしょう。

私も小さい頃から医者になりたくて医者になりました。小さい頃はよく熱を出して、近所の内科に行きました。夜遅くに診てもらうこともありましたので、医者とは昼夜関係なく仕事をするものと思っていました。さらに、国立大学に入学し、授業料のほとんどを税金から出してもらって医者にしていただいたわけですから、社会に還元したいという思いは強いです。公務員ではありませんから「公僕」ではありませんが、「人々のために尽くしたい、人を幸せにする仕事をしたいと考え」医者になりました、という点は前川さんと同じです。

前川さんは、現役時代には大きな組織の中で、その思いを貫くことが難しかったのでしょう。それに比べると、私の場合、あまり医局組織と関わらずに自分のしたいことをしてきましたので、しがらみのない分恵まれているのかも知れません。後悔することのないよう、初心を忘れず日々の診療を積み重ねて、より多くの人に喜んでいただける仕事をしたいですね。

妊娠率25%とはどういう意味でしょうか?

こんにちは。次第に蒸し暑くなってきましたが、元気にお過ごしですか?クリニックがすいている日には、汗がひく前にお呼びしないよう、ご来院後少し時間をおいてからお呼びするようにしていますが、大丈夫でしょうか?

さて、「妊娠率 25%」と聞いて皆さんはどうお思いになりますか?一般的に不妊治療の成績として示す時には、「治療あたり」の成績として示されることが多いので、100人の女性(100組のご夫婦)に1回の治療を行うと、25人(25組)の方が妊娠するという意味です。

これは少子化を考えるような社会人口動態統計であれば意味があるかもしれませんが、個々の方の不妊治療ではあまり意味がありません。妊娠という結果で見れば、1回の治療あたり25人の方は100%満足、残りの75人の方は0%満足(100%不満足)ということになります。100人の方がそれぞれ25%満足ということはありません。

不妊治療では、やはり最終的にそれぞれの方が妊娠に至ったかどうかが重要であり、そのためには1回の治療あたりの成績ではなく、その方が最終的に妊娠に至ったかどうか、すなわち「患者さんあたり」の成績が重要です。当院の実績では、常にこの「患者さんあたり」の成績も公表しています。

治療に通われる女性の年齢も次第に高くなり、多くの方が年齢を気にしていらっしゃいます。しかし、卵子の質は毎月毎月次第に弱くなっていくわけではなく、まずは年齢と共に生理周期ごとに卵子の力に差が出てきます。つまり、どんなに努力をしても良い卵子が育たない周期が増えてきます。したがって、良い卵子が育つ周期を待つ、そういう周期を逃さないために、ある程度の期間治療、あるいは妊娠努力を続けることが重要になってきます。

当院に通院していただいている方もそうですが、不妊治療に通われる方は、丁寧できちんとした性格の方が多く、その性格が逆に不妊治療をストレスに感じさせてしまうことも多いのではないでしょうか?その性格は財産で素晴らしいことですし、ご両親のおかげでしょう。しかし、上に述べたように、良い卵子が育つ周期でなければ、私たちスタッフも含め、ベストを尽くしても妊娠に至らないことは変えられません。

自分に頑張れることと、ある程度は確率的(運命的)なこととを分けて治療に向き合えると、少し気持ちが楽なると思います。一人一人、体質も違います。丁寧に問診、診察をしていると、それぞれの方にとって最も適した治療法も見えてきます。私は、治療の結果が出ていなくても、きちんと説明をして、可能性があれば治療を続けられるような提案をしています。チャンスを逃さないよう一緒に頑張って欲しいと思います。

このあたりのことを先日セミナーで話しました。まだしばらくはオンデマンドで見られるそうなので、興味のある方は、当院ホームページの「お知らせ」にあるアドレスを参照してください。

 

 

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