横浜市神奈川区鶴屋町にある横浜駅近くの不妊治療専門施設

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横浜HARTクリニックの内観

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私が日々の診療で提供したいと願うもの

前回のブログで、待ち時間改善への取り組みを書いておきながら、年末年始採卵を行わなかったために1月は採卵、移植の方が多く、結局外来で長くお待たせする日もあり、大変申し訳ありませんでした。もう少し様子をみて、必要があれば、再度システムを検討したいをと思いますので、ご理解の程お願いいたします。

さて、昨年末に亡くなった母の最後の数か月を振り返って、私は改めて医療について考える機会を持つことができました。母については、高齢者に対して医療の最終目標は必ずしも人の命を1日でも長く伸ばすことではなく、定められた寿命をいかに最後まで人として尊厳を持って生きられるよう手助けできるかでもある、ということです。母は自分なりに最期の時期を知っていて、延命処置なく静かに父のもとへ去って行ったような気がします。

私の仕事である不妊治療については、医療の最終目標は出産です。治療周期が妊娠に至らなければ、私自身、医療行為としての敗北を感じます。皆さんも出産を希望してクリニックへいらっしゃるわけですし、アンケート調査でも必ず「まだ妊娠という結果が出ていないので、クリニックの評価は〇〇点です」という回答をいただきます。しかし、これまでにも書いてきましたが、私は妊娠・出産という結果がすべてではないと考えています。治療が的確なもので、正しく行われれば、治療という経験そのものにも意味があります。

私もスタッフも診療理念にあるように、最高の医療を提供できるよう日々努力、勉強して、一人一人に真剣勝負で臨んでいます。「当院の実績」にも示したように、体外受精によって、40歳未満の女性であれば、半数以上の方が妊娠、出産に至っています。しかし、卵子、精子、子宮の問題のために、どうしても出産が叶わない方たちもいます。出産に至った方も、願いが叶わなかった方も、それぞれの方が自分らしくその後の人生を生きていけるように、治療に寄り添うことが不妊治療という医療のあるべき姿だと思います。

外来の待ち時間改善へ取り組みをはじめました

皆さん、明けましておめでとうございます。

2017年もよろしくお願いいたします。

年末年始はプライベートでは慌ただしいことが多く大変でしたが、診療では新鮮胚移植、凍結胚移植ともに妊娠率が高く、よい仕事ができたと思っています。

さて、以前にも書きましたが(2016年12月16日のブログ参照)、皆さんにご協力いただいたアンケートで、「待ち時間が長い(長すぎる)」というご意見をたくさんいただきました。私も十分認識はしていましたが、この機会にスタッフとその原因、解決策を話し合ってみました。

その結果、タイミング指導、人工授精、体外受精のように治療内容の異なる方々の予約を取るにあたって、皆さんの予約希望時間通りに予約をお取りしようという配慮が却って皆さまのご不満につながっていると考えられました。現状のままでは外来診療のペースが予測しにくく、日によっては短時間の診療の方が2時間以上も待つような状況が続くと思われましたので、以下のように診療・処置内容によって「予約のゾーン」を設定しました。これまでのように皆さんの希望のお時間に予約をお取りできないかもしれませんが、待ち時間の改善につながり、皆さんの貴重なお時間をより有効に使っていただけると思いますので、ご協力の程お願いします。

8:40-9:15 採卵

9:15-9:30 新鮮胚移植予定の方との相談

9:30-10:00 主に体外受精、凍結胚移植の方の診察

10:00-10:30 新鮮胚移植

10:30-11:30 診察、人工授精など

11:30-12:00 凍結胚移植

12:00-   通水検査、診察、相談をご希望の方

採卵、胚移植の予定がない日には、そのゾーンには診察予約を入れます。また午後については、人工授精や胚移植を行っていないので、比較的外来の進行が予測しやすく、しばらくは現状のままの予定です。

「指示された時間にきちんと来院したのに」ずいぶん待った、ということが少しでも減るよう努力いたします。スタッフの人数が増えれば解決することもあるとは思いますが、まずは今すぐ何ができるかから始めましたので、お気づきの点があればスタッフに直接お伝えいただくか、ご意見箱へ投函していただければ幸いです。

2016年も1年間ありがとうございました

2016年もあと1日となりました。今年もたくさんの方々に通っていただき、ありがとうございました。少しずつですが、着実にクリニックの実力もついてきていると感じています。もちろん改善すべき点は引き続き来年の課題として、スタッフ一同継続努力していきたいと思います。

私事ですが、昨年の父に続いて、先日母を亡くしました。父の一周忌を終えて間もなく体調を崩して8月に入院し、今月初めには一度退院したのですが、その後病状が悪化して再入院し、そのまま24日に他界しました。最近は、休診日に頻繁に横浜と桑名を行き来していたので、もし外来で疲れた顔をお見せしていたことがあればどうかご容赦ください。

順番として親が先に行くのは当然ですし、「残された者の最大の親孝行は、人生をしっかりと生きること」と住職の方に励まされましたので、2017年は皆さんにより満足していただける診療を目指したいと思います。

2017年に通院いただく皆さん、一緒に頑張りましょう。

どうぞよいお年をお迎え下さい。

アンケートへの回答ありがとうございます

11月から配布しています満足度アンケートへのご回答をいただき、ありがとうございます。約200部をすでに配布し、約80部返送いただいています。このようなアンケートで、40%もの方にご回答いただけたことに感謝しています。アンケート用紙は今年いっぱい配布し、来年1月末に最終集計する予定です。

回答用紙では、皆さんからの率直なご意見をお聞きしたいと思い、敢えてフリーコメント欄を大きくしました。その甲斐あって、様々なご意見をいただくことができました。

温かい励ましやねぎらいの言葉もあれば、厳しいご意見も多くいただきました。厳しいご意見であっても(だからこそ)、通院中の方々からいただくものは全て、「こうだったらもっと通いやすいのに」という好意的な提案としてありがたく受け止めています。

具体的には、「待ち時間」、「電話応対」、「待合室」などについてご意見をいただいていますが、これらは個々に解決するべき問題ではなく、クリニックの診療システム全体を見直すべき問題だと思います。2017年の課題として、スタッフ全員で問題意識を持って、改善に取り組んで行きたいと思います。

赤富士をご存知ですか?

昨日いただいた出産報告の中に、赤い富士山のスケッチが同封されていました。

添えられた手紙には、「『陣痛中の妊婦が描いた赤富士は子宝・安産を呼ぶ』というジンクスをきき、…… 横浜HARTクリニックに通院される同志の皆様、お一組でも多く、願いが叶いますように、と描いたものです」とありました。

私は世間に疎い方なので全然知りませんでしたが、インターネットで検索してみると、確かにそう言われているようです。当院から産科へ転院された後も、当院へ通われている同志の方々のことを気にかけていただいていることに心から感謝申し上げます。

私は、開院からずっと、横浜HARTクリニックという「空間」の居心地を大切にしたいと思っています。クリニックに入ると、外とは違った空気が流れていて、一緒に頑張っている同志の方々がいて、それを支えたいと思って寄り添うスタッフがいる。押しつけがましくはないけれど、困った時にはいつも相談にのってくれる、そんな「空間」です。願いがかなった方も、残念ながら願いが叶わなかった方も、当院への通院経験が、「空間」体験として思い起こしていただければ幸いです。

現在お願い中のアンケートの回答が集まりましたら、皆様からのご意見を、より良い「空間」作りの参考にさせていただきたいと思います。

顕微授精で生まれた男性の精液所見

HARTグループでは、月に1回、広島HARTクリニック、東京HARTクリニック、横浜HARTクリニック、神奈川ARTクリニックの4施設合同でTVカンファレンスを行い、論文の抄読や情報の交換をしています。

今月は、神奈川ARTクリニックの田島先生に、顕微授精(ICSI)で生まれた男性の精液所見についての論文(”Semen quality of young adult ICSI offspring: the first results, Human Reproduction, doi:10.1093/humrep/dew245)を読んでもらいました。

1992年から1996年に ICSI によって生まれた18-22歳の男性の精液所見についての論文です。詳細は、次号のHART Newsletter に掲載予定ですが、結果だけ記すと、ICSI によって生まれた男性 54 名の精液濃度の中央値は1770万/ml で、対象群の3700万/ml よりも有意に低かったというものです。運動率(55.0% vs. 56.0%)、精液量(2.2ml vs. 2.6ml)については差がありませんでした。息子の精液所見が、父親よりもさらに悪くなることもありませんでした。ICSI が行われた理由の 92.5% は男性因子です。

このような論文が出ると皆さん不安になられると思います。しかし、論文の著者グループは世界で最初に ICSI を行ったグループで、これまでずっと ICSI で生まれた子供たちをフォローアップしてきました。今回、ようやく成人になり、精液所見のデータを得られる時期になったのです。自らの治療に対して、ここまできちんと責任を持つことにまず敬意を表します。

今回の調査では、215 家族に連絡を取ろうとしたのですが、149 家族にしか連絡が取れず、そのうちの 56 人から同意が得られました。うち 2人 は精液採取ができなかったため、最終的に54人のデータとなりました。ICSI によって生まれたことを子供に話していない家庭や、精液検査自体受けたくない等、参加を希望しない理由は様々です。

この論文の結果が世界中の全ての ICSI 児にあてはまるかどうかはわかりません。遺伝的な体質だけではなく、それぞれの家庭生活習慣なども大きく影響すると考えられます。今後報告されると思われる多くのデータを待ちたいと思います。

大事なことは、特に不妊治療では、目の前のご夫婦だけではなく、あるいはそれ以上に生まれてくる子供たちが幸せになれるよう、私たち医療従事者は自分が行う治療に責任を持つことです。全ての結果を予測することはできませんが、常にベストと思われる方法を考え、精子、卵子、胚を愛護的に扱って、女性が安全に妊娠、出産できるよう、予定した治療を確実に実行することを日々心がけています。

アンケート調査にご協力ください

皆さん、お元気ですか?

タイトルの通り、開院以来初めてアンケート調査を実施することにしました。本当は、もっと早くに実施したかったのですが、なかなか手が回らず今になってしまいました。

開業時からのコンサルト会社である日本医業総研の協力を得てアンケート用紙を作成してもらいました。回答用紙には、皆さんの満足度だけでなく、クリニックの点数評価、自由記述もありますので、ぜひ率直なご意見をお聞かせ下さい。2016年11月7日から配布し、ご来院の方全員、先着で300名の方にお渡しします。日本医業総研宛ての返送用封筒も一緒にお渡しします。

私たちスタッフが良かれと思ってしていることが、皆さんからみると実は不満足なこともあるかも知れません。また、私たちが気付かずにご迷惑をおかけしてることもあることでしょう。クリニックが皆さんにとって、より身近で通いやすい「場」、「空間」になるようスタッフ一同一層努力したいと思っていますので、ご協力の程お願い申し上げます。

凍結胚移植周期の卵胞ホルモン剤について

凍結胚移植をホルモン補充周期で行う際に使用するホルモン剤については、以前にもブログに書きました(「凍結胚移植周期のホルモン剤について」、2016年1月27日)。

できるだけ日本国内で認可・販売されている薬剤を使用するように努めていますが、これまで使用してきた卵胞ホルモン(エストロゲン)、ジュリナ、は 1 錠に含まれるホルモン量が少ないため、どうしても錠数が多くなってしまいます。そのため、費用の負担だけでなく、多くの薬を服用するという「心理的な負担」も大きくなり、皆さんに対して心苦しく思うようになりました。

従って、卵胞ホルモンに限って、以前使用していた製剤、プロギノーバ、を再度海外から輸入して使用することにしました。プロギノーバ 1 錠には、ジュリナ 1 錠の4倍量の卵胞ホルモンが含まれていますので、服用錠数は 4分の1 で済みます。さらに内膜が厚くなりにくい方には、同じ錠剤を腟に入れていただくこともあるのですが、その際にもより有効と思われます。

新鮮胚移植後のホルモン補充については、短期間なため、現行通りジュリナを処方させていただきます。

腟剤については、国内販売されているものはどれも海外製品と同一なため、凍結胚移植、新鮮胚移植共に現行通りとさせていただきます。

不明な点があれば、遠慮なく医師(後藤)にお尋ねください。

不妊治療の評価方法

朝晩冷えてきましたが、体調はいかがですか?

院内は、暑くも寒くもなく、今が一番調節し易い季節です。

さて、今回は「妊娠率」という表現についてお話しましょう。皆さんが一番知りたい「妊娠率」は、実は非常に曖昧な言葉です。

体外受精を例にとると、当院の実績のページでも示しているように、「周期あたりの妊娠率」や「患者さんあたりの妊娠率」がありますし、さらには新鮮胚移植と凍結胚移植を合わせた「採卵あたりの累積妊娠率」などもあります。

それぞれに評価しているものが異なるので、体外受精に限れば、患者さんにとって一番適切で、より真実を伝えられるものは、「患者さんあたりの妊娠率」だと思います。「周期あたりの妊娠率」や「採卵あたりの累積妊娠率」は、患者さんの背景や、クリニックの治療方針など様々な要因が加味されるので、クリニック間の比較には向きません。

体外受精に限らず、少し視点を変えた評価法として、「妊娠に至るまでの時間」(Time To Pregnancy; TTP) という表現もあります。例えば、タイミング性交と人工授精を比較して、文字通り「妊娠に至るまでの時間」を統計的に計算する方法です。不育症で悩む方には、同様に「出産に至るまでの時間」(Time to Live birth; TTLB)という評価法があり、着床前スクリーニング(PGS)の有効性を評価する際などに用いられています。

ご来院された際には、それぞれの治療法のいわゆる「妊娠率」をご説明していますが、どの表現も100% 客観的なものではないことを知っておいてください。

雑感

先日、「The End of Sex」(H. T. Greely 著、Harvard Univ. Press)という本を読みました。タイトルの通り、ヒトの生殖が近い将来、性交によってではなく、体外での受精によって行われるようになるという内容です。これは不妊治療をしている方に限りません。まず、夫婦の iPS 細胞を作り、そのiPS 細胞から卵子と精子を作って(体外)受精させ、できた受精卵を女性の子宮に戻します。不妊治療をされている女性にとっては採卵をせずに済むので、負担が減り良いことかもしれません。現行の採卵方法では、刺激周期でも1回の採卵で10個程度の卵子しか採取できませんが、iPS 細胞からは限りなく卵子を作成できるはずなので、着床能力のある受精卵が得られる可能性、すなわち妊娠の可能性が高まると書かれています。さらに、着床前診断/スクリーニング(PGD/PGS)を行えば、多くの受精卵の中から希望の性質を持つ受精卵を選ぶこともできます。確かに技術的にはこのようなことが可能な時期に来ていると思われますが、果たして20年後はどうなっているでしょうか?

実は、同じようなシナリオは Aldous Huxley の古典「Brave New World」に書かれています。こちらの本に書かれた世界では、人々は「通常」体外受精によって子供を作り、一部の「特別」な人たちが性交によって子供を産みます。そして人々はバーチャルな世界に娯楽を求め、五感による現実世界の娯楽はつまらないものとして描かれています。驚くべきことは、この本が80年以上も前、1932年に出版されたことです。

私自身は、生殖行為は自然(宗教を持つ方にとっては神?)の「壮大な実験」であり、必要以上に人の手を加えるべきではないと考えています。精子や卵子が作られる際には、両親から受け継いだ染色体ペアの間で遺伝子の組み換えが行われ(減数分裂、相同組み換え)、その結果できた1個1個の卵子、精子が持つ遺伝子は全て組み合わせが異なります。約30,000個の遺伝子があると言われていますから、その組み合わせはほぼ無限です。敢えて DNA の鎖を切るようなリスクを冒してまで遺伝子の組み換えを行う理由の一つは、やはり種としての多様性を生み出すことでしょう。様々な未知の環境、病気に耐える性質を持つ個体を生みだすことが種の保存につながります。ヒトが現時点で希望する性質を持つ子孫だけを残していくのは非常に危険です。何が有利で何が不利かは時代や社会環境によって異なります。理想は、「壮大な実験」の結果を全て「個性」として受け入れていけるように社会が意識し成熟することではないでしょうか。

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