横浜市神奈川区鶴屋町にある横浜駅近くの不妊治療専門施設

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横浜HARTクリニックの内観

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今年1年を振り返って

日も短くなり、寒さも増してきました。風邪や胃腸炎などがはやっているようですが、皆さんは大丈夫ですか?

先週あたりから、患者さんから帰り際に「先生、良いお年を」といわれるようになり、「もう2015年も終わりなんだな」と感じるようになりました。一日一日ベストを尽くすことを心がけて、それを積み重ねたら、あっという間に一年経ったという感じですね。さらに、今年は7月に父が急逝して喪中のため年賀状も書かず、なんとなく季節感がないまま年末を迎えました。

今年一年を振り返って、診療について言えば、理念を共有するスタッフと共に、良い医療を提供できたと思います。一人一人の患者さんと丁寧に向き合うことで妊娠率の向上につながるいくつかの新たな発見もありましたし、より安全で確実な胚凍結法もほぼ確立しました。体外受精周期の集大成ともいえる胚移植では、常に確実に子宮内の理想の位置に戻すことができました。そして何よりも、重大な副作用や合併症を起こすことなく、安全に治療を受けていただけました。

本当は診療以外にもいろいろな社会活動に取り組みたかったのですが、忙しさを理由に先送りになってしまいました。このブログも、外来が忙しくなって土曜日に開催していたセミナーが思うようにできなくなったため、通院中の患者さんや、不妊で悩む方々に向けてメッセージを発しようと思って始めましたが、振り返ってみると、ついつい間が空いてしまいました。

来年は、診療体制をより充実させて妊娠率の向上に努めると共に、待ち時間を減らす工夫や、電話に替えてメールサービスを導入するなど、皆さんのストレスが少しでも減るように努力したいと思います。

年末年始を前にして

12月に入りました。年内の治療周期もあと1周期となりました。

10月、11月は体外受精の採卵および胚移植が多かったため、外来診療(診察および相談)時間を十分に取れない日もあり、皆様にはご迷惑をおかけしました。しかし、この2カ月の胚移植当りの妊娠率は50%程度あり、質の高い治療が行えたと思います。

多くの方が、年内に妊娠判定を終えて、年末年始を迎えたいと思っていらっしゃることでしょう。できるだけご希望に沿うようにしていますが、あまりギリギリの日程を組むとベストな治療を行えないことがあるので、そのような場合は、余裕を持って、年内の移植、年明けの妊娠判定、あるいは、1月を待って治療をスタートするようにお勧めします。

年末年始には、いろいろな会や親戚の集まりなど、人と会う機会が増えます。妊娠、出産、育児の話題が出て、胸が苦しくなることがあるかもしれません。そんな時には、私たちスタッフのことを思い出してください。今年は間に合わなかったかも知れませんが、来年のこの時期に、また辛い思いをしなくて済むように出来る限りの努力をします。

次のステージへ

朝晩寒くなってきましたが、皆さん元気にお過ごしですか?前回の投稿からあっという間に2週間以上経ってしまいました。

去年開業した時の目標の一つに、「月に20人の方の採卵を安全に確実に行い、平均妊娠率30%を目指す」ことがありました。刺激周期では、OHSSなどの副作用に気をつけながら、最適な日に採卵を行い、複数の卵子や受精卵を培養し、予定した日に移植するため、医師、看護師、受付事務、培養士の全員がチームとして患者さんの状態を十分に把握しておく必要があります。この3ヶ月を振り返ると、月に約20人の方の採卵があり、副作用もなく目標妊娠率もほぼ達成できたと思います。

しかし、患者さんからは。「待ち時間が長い日がある」、「薬の説明が十分でない」、というような様々なご指摘もいただいています。ご指摘については、その都度スタッフで共有し、改善策を検討するようにしていますが、お気づきの点があれば、遠慮なく私またはスタッフに伝えていただくか、洗面台横の「ご意見箱」に投函してください。

今後は、現在の診療システムが、より満足していただけるものになるようスタッフ一同初心を忘れず努力します。そして、クリニックの次のステージとして、卵子提供、卵子の凍結保存、着床前スクリーニングなど社会的、倫理的に議論のある領域についても、これまでの国内外での経験を生かしながら、世の中のニーズに答えられるよう準備をしていきたいと考えています。

「わかりません」という言葉の重み

前々回、Marilyn Monk 教授のことを書きましたが、他にも大きな影響を受けた人が何人かいます。その中の一人は、私が医学生だった当時、東大の内科教授でした。その方とは病棟実習後の口頭試問で接しただけですが、頂いた一言にはインパクトがありました。

受け持った患者さんについてのプレゼンテーションに対する質問がいろいろとあるわけですが、私が「わかりません」というと、その教授は「わからないというのは、君が勉強不足で知らないの?、それとも世界中の誰もしらないの?」と言われました。

もちろん私の勉強不足なのですが、この一言には目を覚まされました。考えてみれば当たり前のことです。目の前の患者さんの命や人生がかかっているわけですから、私が最大限の努力をしなくて済むはずがありません。

その後今に至るまで、わからないことは徹底的に調べてからものをいうようにしています。調べる際には、Monk 教授から学んだ、論文を常に批判的に読む姿勢が役立っています。皆さんからの質問に、私が「わかりません」とか「答えがないと思います」とかいう時には、「わからない」という言葉の重みを感じた上での、誠実な答えであるとご理解ください。

体外受精治療の間の自然妊娠

この1-2カ月、妊娠された方が多かったのですが、中には体外受精の合間に自然妊娠された方も何人かいらっしゃいました。素晴らしいことです。治療任せにせず、ご夫婦がきちんと夫婦生活をもっていらっしゃることがとてもうれしく思われます。

ホームページの「当院の実績」にも書いたように、精子と卵管機能に異常がなければ、体外受精周期以外のいつでも妊娠のチャンスがあります。

何年もタイミングで頑張って上手くいかなかったご夫婦が、なぜ体外受精治療周期の合間に妊娠できたかについて、私は次のように考えます。

1.卵巣刺激をしたことによって、排卵までに2-3ヶ月かかるような小さな卵胞の機能が活性化した。したがって、体外受精周期ではなく、その後の自然周期に刺激効果が現れた。

2.採卵のために針を卵巣に刺入したことで、卵巣内で血管新生などの新陳代謝がおこり、卵胞発育に良い影響を及ぼした。

3.卵巣刺激によって卵巣が腫大した(腫れた)ことで、卵巣のそばにある卵管が引き延ばされて周囲との癒着がとれ、卵子のピックアップができるようになった。

4.体外受精によって卵子と精子が出会えば受精することがわかり、より積極的にタイミング性交が持てるようになった。

いずれも臨床的に証明することは難しいですが、体外受精をしたことがプラスに働いたと考えてよいでしょう。タイミング性交、人工授精、体外受精といった方法にこだわることなく、6か月から1年の間に結果を出せるように、治療をご提案したいと思います。

ロンドンでの大学院生活

アメリカで着床前診断の仕事をした後(前々回参照)、日本へは戻らずにロンドンの大学院に入学しました。自分で手紙を書いて、Marilyn Monk教授の研究室に入れてもらいました。意外と知られていませんが、Marilynは世界で最初に、蛋白質およびDNAレベルで着床前診断が可能であることを示した研究者です。

Marilyn のもとでは、着床前診断から離れて、彼女の主な研究分野であるepigenetics、特に精子、卵子、受精卵のDNAのメチル化とX染色体の不活性化に関する基礎研究を行いました。彼女とは学位取得後も含めて、5年半ほど仕事をし、何本かの論文も書きましたが、それ以上に、彼女からは仕事に対する姿勢について多くを学びました。

何をしろという指示をもらったことはほとんどなく、自分で過去の論文を読み漁って研究題材や実験手順を決め、都度進捗状況を報告に行くスタイルでした。しかし、Marilynはたいていの論文は読んでいて、それも細部にわたって丁寧に読み、それぞれの論文について必ずいくつかの弱点を拾い出していました。その上で、私のデータを見て、丁寧に厳しく指導してくれました。

Marilynは研究者として顔が広く、私が行き詰まると、「○○に聞いてみたら?」と言ってよく連絡先を教えてくれました。Marilynの大学院生だと伝えると皆親切にアドバイスをくれたり、装置を使わせてくれたり、大変ありがたく思いました。放任主義ではありましたが、常に真実を求めて不正を許さず、レポートや論文の下書きには真っ赤になるほど添削を入れてくれ、自分のために割いてくれた時間に感謝したものです。

このロンドンでの大学院生活以来、私も常に論文を批判的に読み、本当に正しいと確信できるものだけを取り入れる癖がつきました。不妊症領域では、患者さんの背景が一様でなかったり、母集団が小さかったりで、結果が正しいのかどうかわからない論文が多く、そういうものは「参考として、結論は保留」と判断しています。したがって、安全性に問題がないと思われる内容であれば、患者さんに「こういう方法が報告されていますが、試してみますか?」というように相談して、自分でデータをとり、有効かどうか結論するようにしています。

大学院生活から20年近く経ち、Marilynも80歳を過ぎましたが、今でも時々「この論文は読んだか?、あの論文はおかしい」「このアイデアをどう思う?」とメールをくれます。なぜ、どこの馬の骨とも分からない私を研究室に受け入れてくれ、親身になって指導し、今でも気にかけてくれるのか分かりませんが、私にとっては人生の恩人の一人です。

診療で最終目標としていること

開院から1年が経ち、クリニックとしての診療体制もかなり整ってきました。体外受精の採卵を月に20-25人、凍結胚移植も月に10人程度行うようになりました。それに伴って妊娠される方も増え、日々何人か妊娠中の方を診察しています。

もちろん、皆さんに妊娠していただくことを目標に診療を行っているわけですが、私にとっての最終目標は、「生まれてくる子供をご夫婦に大切に育てていただくこと」です。そのために、治療が大変なものであっても、つらい思い出にならないよう、通院中のストレスが最小限になるよう努力しています。

また、残念ながら治療を終了することになった方には「結果は出なかったけれども、横浜HARTに通院したことに後悔はしていない」と思っていただくことが目標です。

不妊治療は人生の一時期の経験ではありますが、その後のご夫婦、ご家族の人生に大きな影響を与えるということを、常に意識して診療しています。

体外受精・着床前診断との出会い

私が体外受精の世界に入ったのは1993年のことです。米国ウィスコンシン大学からフェローシップをもらい、1年間の予定で、体外受精を学ぶことと、着床前診断(PGD)の研究をすることを目的に留学しました。

当時はまだ、ヒトのゲノム解析の途中でしたから、多くの遺伝疾患の原因遺伝子がわかっていませんでした。そこで、男の子にのみ発症する病気(X染色体上の遺伝子に異常がある、伴性劣性遺伝という)を避けるために、受精卵の性別を調べる方法を研究していました。

その頃の最新技術であったPCR法やFISH法を用いていましたが、その後、ヒトの全ゲノム塩基配列が決定され、遺伝子解析技術は飛躍的に進歩しました。現在では、aCGH法やNGS(次世代シークエンス)法により、1個の細胞から染色体の本数や、全ての遺伝子を解析することが可能になりました。

日本でも、着床前診断(PGD)、着床前スクリーニング(PGS)の臨床研究・応用が予定されています。ウィスコンシン時代からずっと興味を持ち続けている分野の1つですが、本当にこの技術が不妊で悩む方たちを幸せにするのか、生まれてくる子供に対して責任を持ってベストな方法といえるのか、結論が出せずにいます。

特にPGSに対しては、ダウン症など染色体異常を持つ子供の出産を排除する可能性から否定的な意見の方も多いようです。私もダウン症など染色体異常をもつ受精卵(児)を排除したいとは思いませんが、患者さんが高齢化する時代の不妊専門医として、流産に終わる運命にある受精卵を見分ける方法は必要であると思います。

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季節による妊娠率

9月に入り、暑さは和らぎましたが、湿度の高い日が続いています。皆さん、体調はいかがですか?

夏と冬には、よく「暑い(寒い)と妊娠率は下がりますか?」という質問を受けますが、クリニックの統計としては、1年を通じて体外受精等の妊娠率は変わりません。

しかし、暑い(寒い)のが苦手、という方はいらっしゃるでしょうから、積極的な治療を進める場合には、できるだけ体調に自信のある時期を選ぶとよいと思います。

また、春には花粉症に悩む方が多いです(私もそうです)し、秋にはブタクサなどのアレルギーに悩む方もいます。薬を飲みながらの妊娠が大丈夫なのか、気になりますよね。

そうはいってもあまり考え過ぎると、1年のうち治療に最適な時期が見つからなくなってしまいます。それぞれの方に合わせて、一番良い方法を考えますので、遠慮せずに相談してください。

横浜HARTクリニック診療理念

当院に通院中の方はご存じだと思いますが、待合室の壁に当院の「診療理念」が掲げてあります。その理念は以下の7つです。

1.患者さんの気持ちに寄り添った診療を行います。

2.患者さんの話をよく聞きます。

3.納得していただけるまで十分に説明します。

4.それぞれの患者さんに最適な治療を安全に行います。

5.院内勉強会、研修、学会参加を通じて、知識の吸収と技術の向上に努め、最高水準の医療を提供します。

6.定期的な接遇研修を行い、接遇マナーの改善、向上を目指します。

7.生殖医療および社会全般に貢献できるスタッフを育成します。

毎月1回、全スタッフが集まるミーティングで、必ず1人に音読してもらっています。スタッフには、患者さん1人1人のために最大限の努力をすることを常に意識して欲しいからです。

特に7には、目の前の患者さんの妊娠だけではなく、より広い視野に立って、そのご夫婦の将来、これから生まれてくる子供の福祉、その子供たちが生きていく社会、などについて考え、行動して欲しいというメッセージを込めています。

 

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