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日本生殖医学会の声明文に思うこと

皆さん、こんにちは。前回のブログ(2020年3月25日参照)に、一緒に頑張りましょうと書いたばかりですが、4月1日に日本生殖医学会から不妊治療を延期するよう要望する声明文が出されました(日本生殖医学会HP参照)。

 

3月25日のブログに書いたように、緊急度の低い治療は後回しにして、コロナウィルス治療に人的物的資源を集中しようという思いと、妊婦・胎児を守ろうとする思いからだとは思いますが、突然のことで不妊治療の現場には混乱が生じています。実際、夫婦でよく相談する時間もないまま、せっかく準備してきた凍結胚の移植をキャンセルした(する)方がいらっしゃいます。その失望感や悲しみが伝わるでしょうか?

 

今回のコロナウィルス肺炎のような状況下で、各組織や団体がそれぞれに要請や宣言や声明を出すことは混乱を招きます。必要なのは、コロナウィルスによる疫病が収束した後にどのような国を想定しているのかということです。国のリーダーはそのビジョンを明確に示す必要があります。70代80代の高齢者の救命に努力した結果高齢者人口は維持されたけれども、医療スタッフが疲弊して他領域の医療が機能しなくなる。産婦人科領域でいえば、今回のように妊娠を先送りすることで出生率がさらに低下し、年間出生数が60万人程度になるかもしれません。そのような極端な少子高齢化社会では、わざわざ妊娠を延期した人たちが幸せになれる保証はありません。

 

日本生殖医学会が声明文を出すのであれば、日本において妊婦がコロナウィルスに感染する可能性が何%なのか、肺炎が重症化する可能性が何%なのか、胎児に感染して後遺症を残す可能性が何%なのか、何かに基づいた具体的な数字を示すべきでしょう。そうでなければ、治療を中止あるいは延期すべきか、進むべきかの判断はとても難しいです。もともと正解がない不妊治療において、私たち医療従事者と患者さんはまた一つ答えのない選択肢を与えられました。4月1日の夜から、多くの患者さんと話をしてきましたが、この状況はしばらく続きそうです。

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