横浜HARTクリニック

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良い卵子と精子があれば(2)

こんにちは。昨日のブログの続きです。

 

横浜HARTクリニックでは、凍結胚盤胞の2個に1個が着床するとお話ししました。

患者さんに「胚盤胞が凍結できましたよ」とお伝えすると、「私が妊娠する確率はどのくらいですか」と聞かれます。

 

凍結胚盤胞が3個あるとしましょう。1回の採卵周期で3個できる方もいれば、1回の採卵で1個ずつ、3回の採卵周期で3個できる方もいます。いずれにしても、3個の胚盤胞を1個ずつ移植する場合を考えてみましょう。1個ずつの着床確率が 1/2 ですから、「3個とも着床しない」確率は、

(1/2) x (1/2) x (1/2) = 1/8 = 0.125

になります。すなわち、胚盤胞が3個あっても、12.5% の方が妊娠に至らない計算になります。言いかえると、100 – 12.5 = 87.5% の方は少なくとも1回(1回、2回、または3回)妊娠するということです。

 

これは、純粋な算数計算ですが、実際当院では80%以上の方は妊娠に至っていますから、計算値と臨床妊娠率はほぼ合致しています。このことから、二つのことがわかります。

 

まず、計算値とは受精卵以外の条件を一切考慮しない理想値ですから、計算値と臨床妊娠率が合致するということは、子宮の原因によって妊娠しない方は非常に少ないということです。つまり、子宮因子、例えば NK 細胞、Th1/Th2 等の免疫的な原因や、着床の窓といった移植の時期のずれによる着床不全はあまり気にしなくてもいいということです。

 

もう一点は、計算値通りの妊娠率が得られているということは、胚盤胞の凍結、移植周期の子宮内膜の準備、胚融解、胚移植手技の一つ一つが確実に行われているということです。クリニック各部署の仕事だけではなく、患者さんも説明された通りにきちんと薬を使っていただいている証です。

 

患者さんを「人として診る」ことで、より深い不妊治療を行うことができます。できるだけ多くの情報を得て、その方にあった適切な治療計画を立て、治療のステップ一つ一つを丁寧に進めることによって、シンプルながらも最大限の効果を得ることができます。そのスタートは「よい卵子を得ること」です。検査に時間と費用をかけるよりは、新たな採卵を1回行うことで良い卵子を得る確率を高めることを私は選択します。

良い卵子と精子があれば

皆さん、こんにちは。肌寒くなってきましたが、秋晴れの空がさわやかですね。

 

不妊治療がうまくいくかどうかは、良い卵子と精子が得られるかどうかにかかっています。

精子は一回の射精でたくさん得られますから、主に卵子の質によって決まります。

 

卵子の質を高めようと、DHEAや成長ホルモン(GH)など、過去に様々なもの(こと)がトライされました。私も一通りのことは試してみましたが、残念ながらはっきりとした効果の認められるもの(こと)はありませんでした。結局何かの効果というよりは、もう一周期採卵をしたことで、よい卵子に出会えたと考える方が現実的です。

 

横浜HARTクリニックには、体外受精をしてもなかなか妊娠に至らない方が来られます。そういう方々が妊娠されたことを振り返ってみて、いつも不思議に思うのです。すでにタイムラプスによる胚観察やPGT-Aなど、いろいろな検査をしてこられる方が多いのですが、逆に当院では、そういう「付加的検査(add-on)」を一切することなく、基本に忠実なシンプルな治療をしています。その結果、採卵の時点で質の高い(妊娠できる)卵子が得られているということです。

 

当院の最大の特徴は、(1)スタッフ全員で一人ひとりの患者さんを「人として診る」こと、(2)卵子、精子、受精卵の「生きる可能性」を信じることです。

 

(1)については、技術を提供するだけでなく、患者さんを全人的に診て、治療について正しく理解していただく。クリニックに安心感を持ち、スタッフを信頼して通院していただくことです。科学的に証明はできませんが、その安心感、信頼感が、卵巣の中の卵子が持つ、本来の力を引き出すことが出来るのかもしれないと思っています。エピジェネティックスというのでしょうか。30年近く患者さんを診てきてそう思います。

 

外来では看護師長平良さんの力も大きいです。医師には遠慮してしまうけれど、平良さんには話せる、ぜひ話したい、聞いてほしいということも多いと思います。注射の仕方や日々の過ごし方でもいいし、夫婦や職場のこと、直接治療と関係なさそうに思えることでもいいのです。ちょっとした情報を治療に活かすことでよりリラックスしてご通院いただけます。

 

(2)については、受精卵を患者さんの不妊原因と照らし合わせて総合的に判断するということです。私(後藤)は全ての患者さんの受精、培養、凍結、融解の培養業務に直接関わっています。受精方法を決めたり、どの胚を凍結するかを決めたり、場合によっては実際に媒精したり凍結したりしています。BC胚盤胞でも、その治療周期のベスト胚であれば凍結することはありますし、流産経験のある方では、正常な受精(2PN)が確認できなければ、AAでも凍結しないことがあります。それぞれの方の臨床背景を考えて最良の結果が得られ、かつ経済的、身体的、心理的負担が少なくなるように決めています。

 

当院の刺激周期採卵では、70-80%の治療周期で胚盤胞が得られます。そして、凍結融解胚盤胞移植の妊娠率は50%、つまり胚盤胞2個に1個は着床します。流産率は15%程度です。この着床率、流産率はPGT-Aをした場合の多くの報告と変わりません。PGT-Aをする場合には、異常胚として廃棄される胚盤胞が多くありますから、当院の成績は、より少ない数の胚盤胞で妊娠に至ることを示しています。

 

シンプルな治療方針ですが、(1)、(2)のように、一つ一つのステップを丁寧に行うことで、体外受精で妊娠される方の90%の方が3回までの採卵で力のある卵子に出会うことができ妊娠に至っています。

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