横浜HARTクリニック

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治療としての人工授精の位置づけ

皆さん、お元気ですか?

最近、初診でいらっしゃる方で、性交がうまく持てないからという理由の方が増えているように思います。お互い仕事が忙しくて時間が合わないとか、疲れていてそういう気になれないとか、性交に痛みを伴うので怖くてできない等、いろいろな背景がおありだと思います。そういう悩みでいらっしゃる方の多くは人工授精を希望して来院されますが、私はまずご夫婦で自己授精(シリンジ法とも言うようです)をトライしてみるようにお話ししています。

自己授精とは、男性がマスターベーションで精液を採取し、それをシリンジ(注射器の針を取った部分)に吸引して、女性の腟内へ注入する方法です。マスターベーションが出来ないと行えませんが、性交によって腟内に射精するのと同じ効果が期待できます。通院する負担もありませんから、時間と費用を節約することができますし、医療従事者、第三者が関わることなく、ご夫婦だけで実施できるところにも意味があると考えています。

そもそも、人工授精は不妊治療としての位置づけがあいまいで、妊娠率も高いものではありません。身体的、経済的負担が少ないので、タイミング性交を頑張ったあとのステップとして広く行われていますが、妊娠率は患者さんあたり10%程度です。この数字はうまく性交が持てないという理由の方々に限ってもあまり変わりません。このことは、人工授精の治療法としての限界を示すものです。人工授精では、採取した精液中の運動精子の10%程度しか回収できませんし、人工授精当日の精液所見に左右されますから、排卵時期の少し前から自己授精を何回か繰り返すほうがより効果があるかもしれません。

もちろん、タイミング性交を十分に頑張ったというご夫婦が人工授精をトライしてみるのはいいと思います。妊娠率が10%程度とはいえ、より負担が少ない治療で妊娠できればそれに越したことはありません。人工授精で妊娠する方の多くは4回目までに妊娠していますから、年齢的に余裕のある方は4回までを目途にトライしてはどうでしょうか。

もし人工授精で妊娠に至らなくても、あまり落ち込まないでください。卵管因子や卵巣因子など、人工授精では解決できない原因が隠れてることも多いですから、結果が出なければ次のステップを考えましょう。体外受精での患者さんあたりの妊娠率は40歳未満であれば60-80%になりますから安心してください。

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