横浜HARTクリニック

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日々の診療に対する想い 2023

皆さん、こんにちは。

 

今回はこれまでにも何度か書いてきましたが、日々の診療に対する想いをつづります。

 

私は2014年7月に横浜HARTクリニックを開院しました。その前は12年間、東京HARTクリニックに勤務しました。その間私がずっと変わらず願ってきたことは、不妊という人生の大きな試練に悩む患者さんが、その試練ときちんと向き合って、自ら考えて答えを出せるように、医師として、一人の人間として、関わるということです。もし、最終的に妊娠に至らなかったとしても、「このクリニックに出会えて良かった」、「このクリニックだから通院できた」と言っていただければ、それは私達スタッフにとって最高の褒め言葉だと思っています。

 

不妊の悩みは深く、自分自身のものとしての悩みにとどまらず、配偶者や親との関わりにもつながることがあります。特に治療が体外受精まで来ると、身体的負担に加えて、精神的なストレスは相当大きなものになります。従って、医師や看護師の精神的なサポートが重要になりますが、慌ただしい外来の状況ではとても実施することができません。

 

ですから、それぞれの患者さんときちんと関わる(ラポールを築く)ためには、一か月の採卵人数は約20人と決めて開院しました。それに基づいて治療費も決まります。個々の技術(採卵、移植など)にそれぞれ費用はありますが、そこには初診でいらしてから、治療が終了するまでの通院を精神的にもサポートするトータルな費用が含まれています。

 

開院間もない頃は、体外受精の患者さん以外にも、タイミング指導の方、人工授精の方もいらっしゃいましたので、外来で2時間、3時間お待たせすることもよくありました。その時の反省から、3年ほど前からは体外受精の患者さんのみを拝見して、待ち時間がほとんどない、すこしでもストレスの少ない環境作りをしています。

 

昨年4月からの保険適応に伴って、体外受精にも保険点数がつきました。患者さんにとって、3割負担はとても良いことなのですが、処置(技術)だけを切り離して保険点数化され、精神的サポートは考慮されていない(時間をかけて患者さんに説明しても費用が発生しない)ところに問題があります。つまり、保険診療を行うには、時間をかけて説明するよりも、数多くの患者さんを採卵・移植する必要が生じるのです。

 

転院されてくる患者さんの中には、体外受精を何回か受けているのに、ほとんど体外受精についての知識がない方もいます。そのような場合、あらためてそれまでの治療を振り返って、どのような治療をしてきたのか、なぜ結果が出なかったのか、今後どのような治療の方法があるのか、などを一緒に考えて説明します。「納得していただけるまで丁寧に説明をすること」は、8つある当院の診療理念の一つです。

 

当院では、体外受精で妊娠する方の65%は、1回目の採卵で得られた受精卵で妊娠しています。安心して落ち着いて治療に望んでいただけるよう、私達は全力でサポートします。治療のペースは皆さんが決めていいのです。疲れたら休みましょう。悩む時や決断する必要のある時はいつもより長く相談の時間をとりましょう。最終ゴールがどこであっても、私達は皆さんに伴走します。

 

 

 

 

定額費用は好評をいただいています

皆さん、こんにちは。ようやく暖かくなってきましたが、花粉症を持つ人にはつらい時期になりましたね。私も点鼻薬と飲み薬で何とかしのいでいますが、今年はかなり多くの花粉が飛ぶそうですから、お互い気をつけて生活しましょう。

 

さて、今回は「定額費用」の現状についてご説明します。当院では全て自費診療ですが、昨年2022年11月から採卵周期と凍結胚移植周期に定額費用制度を導入しており(詳しくはHP 「費用について」をご覧ください)、好評をいただいています。採卵周期では、採卵前に8-10日間卵巣刺激を行って複数の卵胞(卵子)を育てますが、それに必要な注射や超音波診察、採卵(局所または静脈麻酔)、胚培養全てを含めて定額の440,000円としました。定額制にした一番の理由は、その治療周期がベストな結果につながるよう、必要と思われることを費用の心配なく安心して受けていいただきたいからです。卵巣刺激は簡単なようで実は奥が深いものです。卵胞の発育速度はまちまちでサイズは不揃いですから、どのタイミングで採卵するかを決めるには、きめの細かな診察が必要です。時期が早すぎれば未熟な卵子が多くなりますし、遅すぎれば過熟な卵子が多くなったり、採卵までに排卵してしまったりします。また、刺激注射に反応が良すぎる方(例えば、多嚢胞性卵巣の方や、AMHの値が高い方)は卵巣過剰刺激症候群になるリスクが高いですから、こまめな診察を必要とします。つまり、診察回数に制限がある保険診療では、ベストな結果にならなかったり、合併症を引き起こしたりする可能性があります。

さらに、定額費用440,000円には胚1個の凍結費用も含まれますから、たとえ胚の評価(グレード)が低かったとしても、その胚が唯一の胚盤胞であれば、費用のことは気にせず凍結していただくことができます。

 

私達の目指すものは、できるだけ1回の採卵で妊娠に至る卵子を得ることです。それを安全に、ストレスなく(少なく)達成していただけるように、最善を尽くします。

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