ブログ・コラム
Blog・Column
Blog・Column
昨年8月12日のブログで「寄り添う」治療について書きました。当院の最も大切な診療理念ですが、気をつけてみると、同じように寄り添うことを目標に掲げている医療機関を多く見ます。
なぜでしょうか? おそらく医療従事者の多くが、患者さんに「寄り添う」医療を理想としながらも、実際に「寄り添う」ということの難しさを実感するからでしょう。
私は、「寄り添う」ことは患者さんとの「適切な距離を保つこと」と考えています。その「距離」は患者さんにとって心地よい距離で、患者さんごとに異なります。特に不妊治療では、体のどこかが痛いから今すぐになんとかして欲しいという緊急性があるわけではありませんから、患者さんそれぞれの「心地よい適切な距離」を測る時間が十分にあります。
不妊治療は、「これまでこのように妊娠しようと努力をしてきたけれども上手くいかない、大丈夫かな、まずは話を聞いて欲しい」というところから始まります。初診の際にゆっくり話をすると、「積極的にアドバイスして引っ張って欲しい」という感じの方もいれば、「あまりいろいろ言わないでください、自分で一つ一つ考えて納得しながら進めたいから」という感じの方もいます。
それぞれの方に応じた適切な距離を保つこと、すなわち寄り添うことは、その方が不妊治療を始めて、つらいと感じずに続けていけるかどうか、を左右する非常に重要なことなのです。
東京大学医学部卒業
産婦人科研修医(東大附属病院分院、都立築地産院、国立習志野病院)
アメリカウィスコンシン大学高度生殖医療施設
イギリスロンドン大学大学院 医学博士(生殖遺伝学)
オーストラリアモナッシュ大学体外受精施設
東京HARTクリニック副院長
横浜HARTクリニック開業
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
日本生殖医学会認定生殖医療専門医