横浜HARTクリニック

〒221-0835 神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町3-32-13 第2安田ビル7階

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診療で最終目標としていること

開院から1年が経ち、クリニックとしての診療体制もかなり整ってきました。体外受精の採卵を月に20-25人、凍結胚移植も月に10人程度行うようになりました。それに伴って妊娠される方も増え、日々何人か妊娠中の方を診察しています。

もちろん、皆さんに妊娠していただくことを目標に診療を行っているわけですが、私にとっての最終目標は、「生まれてくる子供をご夫婦に大切に育てていただくこと」です。そのために、治療が大変なものであっても、つらい思い出にならないよう、通院中のストレスが最小限になるよう努力しています。

また、残念ながら治療を終了することになった方には「結果は出なかったけれども、横浜HARTに通院したことに後悔はしていない」と思っていただくことが目標です。

不妊治療は人生の一時期の経験ではありますが、その後のご夫婦、ご家族の人生に大きな影響を与えるということを、常に意識して診療しています。

体外受精・着床前診断との出会い

私が体外受精の世界に入ったのは1993年のことです。米国ウィスコンシン大学からフェローシップをもらい、1年間の予定で、体外受精を学ぶことと、着床前診断(PGD)の研究をすることを目的に留学しました。

当時はまだ、ヒトのゲノム解析の途中でしたから、多くの遺伝疾患の原因遺伝子がわかっていませんでした。そこで、男の子にのみ発症する病気(X染色体上の遺伝子に異常がある、伴性劣性遺伝という)を避けるために、受精卵の性別を調べる方法を研究していました。

その頃の最新技術であったPCR法やFISH法を用いていましたが、その後、ヒトの全ゲノム塩基配列が決定され、遺伝子解析技術は飛躍的に進歩しました。現在では、aCGH法やNGS(次世代シークエンス)法により、1個の細胞から染色体の本数や、全ての遺伝子を解析することが可能になりました。

日本でも、着床前診断(PGD)、着床前スクリーニング(PGS)の臨床研究・応用が予定されています。ウィスコンシン時代からずっと興味を持ち続けている分野の1つですが、本当にこの技術が不妊で悩む方たちを幸せにするのか、生まれてくる子供に対して責任を持ってベストな方法といえるのか、結論が出せずにいます。

特にPGSに対しては、ダウン症など染色体異常を持つ子供の出産を排除する可能性から否定的な意見の方も多いようです。私もダウン症など染色体異常をもつ受精卵(児)を排除したいとは思いませんが、患者さんが高齢化する時代の不妊専門医として、流産に終わる運命にある受精卵を見分ける方法は必要であると思います。

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季節による妊娠率

9月に入り、暑さは和らぎましたが、湿度の高い日が続いています。皆さん、体調はいかがですか?

夏と冬には、よく「暑い(寒い)と妊娠率は下がりますか?」という質問を受けますが、クリニックの統計としては、1年を通じて体外受精等の妊娠率は変わりません。

しかし、暑い(寒い)のが苦手、という方はいらっしゃるでしょうから、積極的な治療を進める場合には、できるだけ体調に自信のある時期を選ぶとよいと思います。

また、春には花粉症に悩む方が多いです(私もそうです)し、秋にはブタクサなどのアレルギーに悩む方もいます。薬を飲みながらの妊娠が大丈夫なのか、気になりますよね。

そうはいってもあまり考え過ぎると、1年のうち治療に最適な時期が見つからなくなってしまいます。それぞれの方に合わせて、一番良い方法を考えますので、遠慮せずに相談してください。

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