2018年もよろしくお願いします
- 2018年1月24日
- 院長
皆さん、こんにちは。
急に寒くなりました。インフルエンザもはやっているようですが、元気にお過ごしですか?
年も改まって普段の診療が始まり、体外受精の採卵、胚移植も始まりました。今年もそれぞれの方に最適な方法を考えて、安全に確実に実行していきたいと思います。そして、今年は、不妊治療は本来シンプルなものであって、皆さんが構えることなく、より身近な治療と感じていただけるように、今まで以上に丁寧に説明していきたいと思います。そのため、今年は初診枠、特にタイミング指導をご希望の方々の枠を減らさざるを得ません。何卒ご理解のほどお願いいたします。
私が、不妊治療は本来シンプルであるべきと考えるのは、人の体が本来妊娠するように作られているはずと考えるからです。力のある精子と卵子があれば、よほど子宮に大きな問題がなければ、ほとんどの方が妊娠します。教科書には、正常値であったり、統計的な妊娠率が書いてありますが、実際には個人差が大きく、教科書的な知識で、妊娠が難しいというような説明を患者さんにするべきではありません(その典型的な例が、抗ミュラー管ホルモン、AMHでしょう)。
私も、時には先入観を持ってしまい、後から反省することがあります。早くに妊娠するだろうと思った方が体外受精を何回も繰り返してようやく妊娠に至ったり、年齢が高く卵子の数も少ない方が初回の体外受精で妊娠したり、というようなことは珍しくありません。子宮内膜の厚みもそうです。10 mm ないと妊娠しにくいとか言われますが、7 mm でも妊娠する方はします。海外で卵子提供を受けられた方々の経験から、子宮の状態がかなり悪くても妊娠できるものであることを学びました。
やはり、妊娠に一番必要なものは、良い精子と良い卵子です。精子は1回の射精で何千万個も得られますから、実際には良い卵子が得られるかどうかです。タイミング性交でも、まず1年は頑張ってみて、と言われるのは、3ヵ月に1度よい卵子が排卵される方もいれば、1年かかる方もいるからです。そのように、もともと個人差が大きい確率的な事象である妊娠を対象にした治療ですから、不妊の原因が卵子にある方は、それなりの期間治療を継続する必要があります。卵管と精子に問題がなければ、体外受精に限らず、タイミング性交を取り混ぜて頑張ってみても良いかもしれません。
その方の普段の生活リズムが悪いとか、仕事が忙しすぎるとか、冷え症だからとか、いうことで不妊になることはまずないと思います。自身を責めることはありません。それよりも、貴重な一回一回の排卵のチャンスを生かすことを一緒に考えてみましょう。私は、妊娠本来の確率的、運命的な特徴を受け入れてみると、少しでもストレスが減り、不妊治療が継続でき、妊娠という結果につながると考えています。