ARTの行く末
- 2023年9月2日
- スタッフ
今、一番危惧していることを書きます。
不妊治療業界の大きな変化です。
以前と大きく異なったことは、最近だと不妊治療の保険診療、それに伴う助成金廃止(一部自治体を除く)です。
3割負担で治療が受けられるようになり、自費診療と比べると価格を抑えて治療が可能になりました。
しかし反対に、助成金が廃止になったことで、かえって自己負担が増えた方。
また、保険診療がメインとなったことで、各ART施設の差(個性)が分かりづらくなり、どこを受診したら良いか悩む方が多いようです。
以前(不妊治療が自費診療だった頃)は、各施設が、自分たちが主力となるものをHPに掲げ、それを見て患者さんも「ここにしようかな」と施設選びをしていました。
おそらく施設間においても切磋琢磨し、なんとか患者さんに来て頂こうとお互いに努力していたように思います。
今は保険診療が前提として、医療ではない部分でのサービス競争が激しいように感じます。
例えば、早朝から、或いは夜遅くまでの診察、診療曜日の拡大、SNS、無料相談や施設見学の更なるサービス拡充 などでしょうか。
他の診療科(内科や外科など)と比べると、保険診療とは思えないほどの手厚いサービスばかりです。
保険診療( = 不妊は病気 )と認められたからには、他の診療科と同じように診療を受けるのが通常で、
患者さんもそれ以上サービスを求めてはいけない、ということになります。
逆を申しますと、ARTは、ここまでサービスを広げなければならない状況下にあるということです。
自費診療 → 保険診療の流れから、自費診療の感覚のまま保険診療が行われている感じでしょうか。
施設側は、一旦サービスを拡大してしまうと、それを維持し続けなければなりません。
過剰なサービスではなく、本来の自分たちの行なっている医療の質を周知・理解してもらい、患者さんに来ていただきたいものです。
施設側、そして患者さん側それぞれが冷静になり、本来の形を取り戻すべきだと思います。
この先、サービス合戦のART業界はどこに進んでいくのか、不安です。
これから治療を考えている方は、施設を選ぶ際、目先の情報や損得だけでなく、自分たちの治療において何が大事かをよく考えることが必要だと思います。
看護師長 平良