ブログ・コラム
Blog・Column
Blog・Column
朝晩冷えてきましたが、体調はいかがですか?
院内は、暑くも寒くもなく、今が一番調節し易い季節です。
さて、今回は「妊娠率」という表現についてお話しましょう。皆さんが一番知りたい「妊娠率」は、実は非常に曖昧な言葉です。
体外受精を例にとると、当院の実績のページでも示しているように、「周期あたりの妊娠率」や「患者さんあたりの妊娠率」がありますし、さらには新鮮胚移植と凍結胚移植を合わせた「採卵あたりの累積妊娠率」などもあります。
それぞれに評価しているものが異なるので、体外受精に限れば、患者さんにとって一番適切で、より真実を伝えられるものは、「患者さんあたりの妊娠率」だと思います。「周期あたりの妊娠率」や「採卵あたりの累積妊娠率」は、患者さんの背景や、クリニックの治療方針など様々な要因が加味されるので、クリニック間の比較には向きません。
体外受精に限らず、少し視点を変えた評価法として、「妊娠に至るまでの時間」(Time To Pregnancy; TTP) という表現もあります。例えば、タイミング性交と人工授精を比較して、文字通り「妊娠に至るまでの時間」を統計的に計算する方法です。不育症で悩む方には、同様に「出産に至るまでの時間」(Time to Live birth; TTLB)という評価法があり、着床前スクリーニング(PGS)の有効性を評価する際などに用いられています。
ご来院された際には、それぞれの治療法のいわゆる「妊娠率」をご説明していますが、どの表現も100% 客観的なものではないことを知っておいてください。
東京大学医学部卒業
産婦人科研修医(東大附属病院分院、都立築地産院、国立習志野病院)
アメリカウィスコンシン大学高度生殖医療施設
イギリスロンドン大学大学院 医学博士(生殖遺伝学)
オーストラリアモナッシュ大学体外受精施設
東京HARTクリニック副院長
横浜HARTクリニック開業
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
日本生殖医学会認定生殖医療専門医