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7月7日で開業3周年を迎えます。
まだ振り返って思い出話をするほどの年月でもありませんが、私にとっては公私ともに密度の高い時間であり、その密度の高さは様々な人との関わりにあります。
第一は、患者さんとの関わりです。開業後も、東京HARTクリニック勤務時代から変わらない姿勢で、一人一人目の前の患者さんと真剣に向き合ってきました。しかし、ホームページの「院長紹介」にも書いたのですが、自分も年齢を重ねたせいか、これまでのように自分の年齢に近い患者さんと共に戦う「同志」的な思いから、「皆さんに幸せになって欲しいから自分の全力を尽くす」という思いへの変化を感じます。「この治療法がベストだろうか」と自問する毎日ですが、日々知識の吸収を怠らず、自分の頭で考えて、謙虚な気持ちを忘れないよう努めています。
第二は、スタッフとの関わりです。開業しなければ出会わなかったはずのスタッフ達と出会い、不妊治療という共通の目的を持って仕事をする機会を与えられました。「診療理念」の一つである教育を通して、スタッフ皆には、社会人としてどこに行っても通用するような人間になって欲しいという思いで関わっています。せっかく何かの縁で出会ったわけですから、「あの時は小うるさい院長だと思ったけど、今思えばありがたかったな」と思ってもらえたら本望ですね。
第三は、両親との関わりです。開業の翌年(一昨年)の7月に父が急逝し、昨年の12月に母が5カ月の入院生活の末に亡くなりました。医者になってからはあまり会う時間もなく、さらに開業する時には、もう親の死に目にも会えないだろうと覚悟はしましたが、開業後すぐに二人ともいなくなり、実際にどちらの死にも立ち会えませんでした。
今日は、父の3回忌と、母の七七日と1周忌を兼ねた法要を桑名で行い、納骨もしてきました。お互いの後を追うように亡くなった二人ですから、それぞれの遺骨を入れた袋を小さな木箱に一緒にいれて、菩提寺の納骨堂に納めてもらいました。手元に置いてあった遺骨を納骨したことで役目を果たしたと思うと同時に、寂しさも改めて感じます。
両親に対してはいろいろな思いがありますが、今一番心に残る言葉は、私が結婚する時に母が言った言葉です。私には兄弟がいないので、「これで自分たち(両親)が死んでも一人ぼっちにならずにすむね」と言ってくれました。その時にはあまり気にとめていなかったのですが、実際に両親がいなくなると、ありがたい言葉だと思います。
人は常に誰かと関わって生きています。人との関わりが希薄になりがちな時代だからこそ、私はアナログ的な人との関わり方も大事にしたいと思っています。診療スタイルも患者さんと時代のニーズに合わせて変えていく必要がありますが、機器だけに頼らず、きちんと話を聞く、丁寧に説明をする、五感による基本診察を行う、病気だけを診ないでその方の生活や思いも考慮する、といった医療の基本的な姿勢を今後も実践していきたいと思います。
東京大学医学部卒業
産婦人科研修医(東大附属病院分院、都立築地産院、国立習志野病院)
アメリカウィスコンシン大学高度生殖医療施設
イギリスロンドン大学大学院 医学博士(生殖遺伝学)
オーストラリアモナッシュ大学体外受精施設
東京HARTクリニック副院長
横浜HARTクリニック開業
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
日本生殖医学会認定生殖医療専門医