ブログ・コラム
Blog・Column
Blog・Column
皆さん、こんにちは。
今回は、HP およびインスタグラムでご案内しています、非侵襲的な着床前胚の染色体検査(niPGT-A)についてお話しします。
この方法は、受精卵(胚)から細胞を取るのではなく、その胚を培養した培養液を用いて、染色体の数的異常がないかどうかを調べ る方法です(当院 HP、niPER (niPGT) 参照)。染色体の本数が正常であるかどうかをスコアで表して、移植する胚の順位をつけるという点から、当院では「移植胚の着床能優先順位づけ(niPER)」とも呼んでいますが、niPGT-A と同じです。
当院では、治療経験のある方が多いのですが、流産経験のある方、年齢の高い方、の割合も高くなっています。最近、産科へ転院された方々から、その後、非侵襲的出生前検査(NIPT) を受けたというお話を伺う度に、妊娠成立後もずっと心配していらしたのだなあ、と申し訳ない気持ちでした。
その不安を軽減できるようにと、当院では niPGT-A へ向けて準備をしてきました。様々なグレードの胚(胚盤胞)について、胚全体の結果と培養液による検査結果は100%一致し、本法が信頼できるものであると判断しています。大切なのは、培養液に不純なDNAが混入しないよう細心の注意を払うなど、通常の培養業務とは異なる分子生物学的な知識と技術が必要になることです。施設によるこの差が、本法が不安定であると言われる要因だと考えています。この点については、私(後藤)の分子生物学的研究者としての背景から、非常に高い精度の結果を保証いたします。
niPGT は着床や、流産しないことを保証するものではありませんが、少しでも安心して妊娠に臨んでいただくことができると思います。また、複数の採卵によって胚を貯める場合にも、どの胚から移植するかを考える上で役立てていただけます。
東京大学医学部卒業
産婦人科研修医(東大附属病院分院、都立築地産院、国立習志野病院)
アメリカウィスコンシン大学高度生殖医療施設
イギリスロンドン大学大学院 医学博士(生殖遺伝学)
オーストラリアモナッシュ大学体外受精施設
東京HARTクリニック副院長
横浜HARTクリニック開業
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
日本生殖医学会認定生殖医療専門医